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リーダーシップ・レジリエンスの構築-4 COREと8つの習慣について

サイトへ公開:2023年11月29日 (水)

By: Katya Fernandez, Ph.D., Cathleen Clerkin, Ph.D., and Marian N. Ruderman, Ph.D.

Center for Creative Leadership(以下、CCL)は、リーダーシップに関する理解と実践、発展を促進するために1970年に設立された、米国に拠点を置く非営利組織です。CCLはリーダーシップ開発に必要なサポートをさまざまな業界に提供しており、リーダーシップ研究の世界的なパイオニアとして知られています。このシリーズでは、CCLの研究活動を通じて得られたインサイトから、不確実さや複雑さを増している中でリーダーがレジリエンスを構築すべき重要性と、レジリエンスを構築するうえで有用な「COREフレームワーク」のコンテンツを翻訳してご紹介します。

新しいレジリエンスのフレームワーク「CORE」 

レジリエンスにはさまざまな概念があります(Fletcher & Sarkar, 2013)。この一貫性の欠如もあってか、レジリエンスの枠組みやモデルはその文脈や集団によって大きく異なります。さらに、レジリエンスという個々の資源をどのように構築していけばよいか、またその理解に役立ち、かつ個人に重きをおいた実践的なモデルは多くありません。私たちは、この研究を開始するにあたり、レジリエンス一つひとつのプロセスに焦点を当てたフレームワークの作成—具体的には、レジリエンスを強化するための実践に基づくプロセス—が、リーダーシップ開発の分野に一石を投じることになると考えました。

レジリエンスとウェルビーイングに関する文献を精査し検討した結果、私たちは、リーダーがレジリエンスを構築し、強化する方法をよりよく理解できるフレームワークを作成しました(図1)。私たちはこのフレームワークを「CORE(Comprehensive Resilience:包括的レジリエンス)フレームワーク」と名付けました。これは、レジリエンスがリーダーの身体、思考、感情、そして行動を含む、自己全体での取り組みであるという考えに基づいています。このフレームワークは、数十年にわたる心理学領域での研究に基づくとともに、実践的な応用や日常生活への組み入れも目指しています。そのためこのフレームワークは、身体的、精神的、感情的、社会的というレジリエンスの4つの領域に焦点を当てています。

  • 身体的レジリエンスとは、ストレス要因に身体的な強さとスタミナで対応し、怪我から回復する能力のことをいいます。
  • 精神的レジリエンスとは、低下するリスクのある認知能力を維持または回復し、創造性を発揮できるようにする能力のことをいいます。
  • 感情的レジリエンスとは、ただその状況に無意識的に反応するのではなく、感情を理解し、評価し、調整し、感情や反応を意識的に選択することをいいます。
  • 社会的レジリエンスとは、他者と協力してストレス要因に耐え、そこから回復する個人の能力をいいます。

これら4つの領域は、リーダーが困難な状況に対応するために不可欠なものであり、さらにリーダーの豊かな人間性、人生の満足度、そしてウェルビーイングにも貢献することになるでしょう。レジリエンスがCOREの中心にあることは重要であり、レジリエンスそのもの(困難な状況に適切に対応すること)が、ある特定の領域のみにあるのではなく、むしろそれぞれの領域によって強化され、補強されることを意味しています。このフレームワークで重要なことの2つ目は、これら4つの領域は個別のものではなく、織り交ぜられ、重なり合い、相互に補強し合っていること、だからこそ図1の円が重なり合っていると理解することです。

図1 レジリエンスと4つの領域の関係

Image1

日常生活のなかで実施可能なレジリエンスを高めるための8つの習慣 

COREは、リーダーがレジリエンスに対する包括的かつ全体的なアプローチを探求できるだけでなく、レジリエンスを高めるため日常生活でどのように実践するのが有用であるかを考えるのに役立ちます。この包括的なフレームワーク(レジリエンスの身体的、精神的、感情的、および社会的側面に重きを置く)は実践する習慣とはやや別のもので、より理論的であるため、ここに示す8つの習慣以外の応用も可能であることは知っておいてよいでしょう。

そのため、仮に現在のフレームワークには無い新しいレジリエンスを高める習慣が見つかった際、それはCORE上の一部としてマッピングすることができるでしょう。次項では、リーダーの日常生活に取り入れることができ(実際に行動に移すことができる)、レジリエンスを生み出し、そしてその強化に役立つ8つの習慣を示します。その8つの習慣とは、身体活動、睡眠、マインドフルネス、認知的再評価、味わうこと、感謝の気持ち、社会的つながり、社会的接触、を指します(図2)。

これらの習慣が選ばれたのは、特にリーダーにおいてその有効性が実証されているからであり、またレジリエンスのフレームワークのさまざまな側面が、概念から実践へとどのように変換していけるかを示すためでもあります。さらに、これらの習慣は、本質的にも、また日常生活にどのように組み入れることができるかという点でも、非常にシンプルなものばかりです。

これらの習慣は、新たな資源を生み出し、学びと成長の循環を生み出すことによって機能します(レジリエンスの欠如により起こりうる悪循環を止める)。例えば、自分が感謝していることを3つ考えて数分過ごすことで、感謝の気持ちが生まれ、それが次の仕事への活力やコミットメントにつながり、仕事の満足度が高まるかもしれません。

リーダーにこれらの習慣に取り組むよう促す際には、(a) それぞれの状況に最も役立つ習慣を見つけ、(b) 1つの習慣だけに依存せず、習慣を多様化することを推奨します(レジリエンス・ポートフォリオの多様化)。個人の好みによって、他の習慣よりも受け入れやすく、かつ楽しいと思える習慣もあるでしょう。ここで、4つのレジリエンス領域と同様に、8つの習慣も相互に重なり合っていることを強調しておきます。例えば、社会的な交流を味わったとして、それは「社会的つながり」と「味わうこと」の両方を実践していることになります。

図2 レジリエンスを高めるための8つの習慣

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Originally published by the Center for Creative Leadership in “Building Leadership Resilience: The CORE Framework” 
http://cclinnovation.org/wp-content/uploads/2020/12/researchinsights_1220_rev1.pdf

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P-Mark 作成年月:2025年9月