EGFR遺伝子変異陽性肺癌の長期生存を考慮した治療シークエンス
サイトへ公開:2024年07月30日 (火)
ジオトリフによるシークエンス治療の可能性
EGFR遺伝子変異陽性の治療には、現在EGFR-TKIを含めてさまざまな選択肢があります。
より長期の生存を目指す上では、一次治療だけではなく二次治療以降も含めたシークエンスを考えた治療選択が重要であると考えられます。
今回は、ジオトリフによるシークエンス治療の可能性について、ご紹介します。
国際共同第Ⅲ相比較試験LUX-Lung 3試験1)(検証試験)
本試験では、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌を対象に、一次治療におけるジオトリフ単独療法とPEM+CDDP併用化学療法の有効性と安全性が検討されました。

主要評価項目であるPFS中央値は、ジオトリフ群11.1ヵ月、PEM+CDDP群6.9ヵ月であり、ジオトリフ投与によるPFSの有意な延長が検証されました(p=0.0004、両側層別ログランク検定)。

次に、日本人サブグループ解析2)では、PFS中央値はジオトリフ群13.8ヵ月、PEM+CDDP群6.9ヵ月であり、ジオトリフ投与による有意な延長が示されました(p=0.0014、両側ログランク検定、名目上のp値)。

日本人サブグループ解析におけるOS中央値は、ジオトリフ群46.9ヵ月、PEM+CDDP群35.8ヵ月でした。

ジオトリフ投与終了後の2次治療への移行率は89.6%でした。後治療内容と治療別の割合はご覧の通りです。なお、本解析のデータカットオフ時点において、オシメルチニブ投与例はありませんでした。

副作用は、ジオトリフ群229例中228例、99.6%、PEM+CDDP群111例中106例、95.5%に認められました。主な副作用は、ジオトリフ群で下痢、発疹/ざ瘡、口内炎、爪の異常など、PEM+CDDP群で悪心、食欲減退などでした。

ジオトリフによるシークエンス治療を検討したRESET (Real-World Experience of SEquential Treatment of Afatinib and Osimertinib in Korea) 試験3)
韓国で実施されたリアルワールドデータRESET試験をご紹介いたします。
ジオトリフで一次治療を開始したEGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌患者を対象に、一次治療および二次治療における臨床アウトカムが評価されました。
本研究の限界として下記が挙げられます。
・韓国の16施設で行われた後ろ向き研究であり、セレクションバイアスが存在する可能性がある
・有害事象イベントに関するデータが収集できていない

主要評価項目であるTime on Treatment(TOT)の中央値4)は、全症例で25.9ヵ月であり、ジオトリフ→オシメルチニブ投与群では35.4ヵ月、ジオトリフ→その他治療群では20.8ヵ月でした(p<0.001、log-rank検定、名目上のp値)。

OS中央値は、全症例で49.1ヵ月であり、ジオトリフ→オシメルチニブ投与群では54.3ヵ月、ジオトリフ→その他治療群では41.3ヵ月でした(p=0.019、log-rank検定、名目上のp値)。

なお、本研究では安全性情報は収集されていません。

今回ご紹介した内容が、先生の肺癌診療のお役にたてましたら幸いです。
【引用】
- Jones H. et al.:社内資料 国際共同第Ⅲ相試験(LUX-Lung 3)[承認時評価資料]
- Kato T, et al. Cancer Sci 2015;106(9):1202-1211.
- Kim T et al; Cancer Res Treat 2023;55(4):1152-1170
- Kim T et al. Cancer Medicine. 2021;10:5809-5822