オフェブ関連コンテンツ 間質性肺疾患画像アトラス 画像読影のポイント編
5/28

5①区域性の拡がり②地図状分布の拡がり区域性の拡がり(分布)とは、すりガラス影がその領域の区域気管支・肺動脈が拡がる区域に一致して拡がることを言います。これは気管支を介して区域に拡がった疾患(特に感染症や誤嚥など)や、気管支と伴走する肺動脈周囲から陰影が拡がる肺水腫や心不全などでみられます。一方で、非区域性の拡がり(分布)とは、気管支や肺動脈の拡がりとは異なって隣接する区域にすりガラス影が拡がる分布を言います。これは器質化肺炎などの間質性肺炎である可能性が高いです。このすりガラス影の区域性か非区域性かは、1つの区域内にみられるのみのすりガラス影では判別できません。1つの区域だけではなく隣接する区域にも拡がるすりガラス影を読影する時に評価するものです。また、肺葉全体に拡がった広範なすりガラス影においては区域性/非区域性の区別は難しいです。非区域性の分布の1つとして、すりガラス影の地図状分布(geographic distribution)という所見も鑑別に重要な所見です。世界地図の島々のように規則正しく配列していない斑(まだら)模様の分布を言います。これは薬剤性肺障害や肺胞蛋白症などに特徴的な所見です。赤枠囲み箇所は非区域性の拡がりであるすりガラス影の分布では地図状分布の拡がりを確認します。地図状分布とは、名前の通り、世界地図のようにすりガラス影が境界明瞭で斑状に分布している所見を表しています。これは肺胞蛋白症や、薬剤性肺障害、ニューモシスチス肺炎、剥離性間質性肺炎(DIP)などでみられる特徴的所見です。そのため、すりガラス影が拡がっている症例では鑑別診断に有用となります。画像上のすりガラス陰影読影のポイント

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る