『石井晴之, 栗原泰之編. 教科書では学べない胸部画像診断の知恵袋. p72-92. 2020』 『石井晴之, 栗原泰之編. 教科書では学べない胸部画像診断の知恵袋. p72-92. 2020』 26非区域性地図状分布網状影、牽引性気管支掂張three-density pattern (図5B: 丸円)地図状にすりガラス影(矢印➊)、ほぼ正常の小葉(矢印❷)、低吸収域(矢印❸)が同一肺葉内に 認められる(B)。本症例は、慢性鳥関連HPの症例です。わが国における慢性HPの6割はこの鳥関連タンパクが原因です。環境歴および免疫学的所見が参考になりますが、特異抗体検査は保険適用ではありません。この特徴的な画像を覚えて画像診断の際に本症を考えるのは重要です。three-density patternとは、①高吸収域(浸潤影~すりガラス影)、②正常域、③低吸収域(モザイクperfusion)の3者が混在する所見に加えて小葉辺縁性の線維化が加わるため、この3者の所見が際立つ所見です(図5B)。以前はhead cheese signと呼ばれており、ヘッドチーズというのは肉の塊がゴロゴロと入った煮凝りのような食べ物(図6)で、この所見を想起させるために名付けられていました。この小葉単位の吸収域の差を見分けるのはかなり難易度の高い読影です。特に、正常域と低吸収域の区別は難しいのですが、この疾患が呼吸細気管支から始まる病気であるということを忘れていなければ、低吸収域は細気管支の閉塞あるいは狭窄によって起こるので、隣の小葉に対して凸になることがすぐにわかると思います。■図6 ヘッドチーズ(写真:iStock)区域性の拡がり地図状分布の拡がり胸膜下領域の変化内部情報■図5 胸部CT(下葉断面、2mmスライス厚。B:左下葉の拡大)●本症例の診断ポイント
元のページ ../index.html#26