17本症例は、前医で胸部X線から間質性肺炎が疑われました。身体診察上fine cracklesを聴取し、抗SS-A抗体陽性、抗核抗体speckled pattern×160を認めましたが、身体診察上、膠原病を示唆する所見はみられませんでした。本症例は、病理学的にNSIPパターンを示します。肺全体の分布は下肺優位、気管支血管束周囲の分布、末梢の二次小葉単位では汎小葉性分布を示します。斑状分布の部位では比較的均一な病変を呈します2、5)。網状影とすりガラス影の程度は症例ごとに異なり混在します。本症例では網状影優位ですりガラス影は目立ちません。NSIPパターンを呈する代表的な疾患は、関節リウマチや強皮症、皮膚筋炎/多発筋炎、シェーグレン症候群などの膠原病に伴う間質性肺炎、線維化性過敏性肺炎、薬剤性肺障害などがあります。特臨床的に原因不明の場合を特発性NSIPといいます。特発性と判断する前に臨床的に2次性の原因を十分検索することが重要です。また、画像上、2次性と特発性NSIPを区別することはできず、臨床診断を画像から断定するに至りません。●本症例の診断ポイント
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