『石井晴之, 栗原泰之編. 教科書では学べない胸部画像診断の知恵袋. p72-92. 2020』 14■ 図5 胸部HRCT③(安定時:胸部X線は図1)(A:肺門下部、1mmスライス厚、B:A~Cの中間域、1mmスライス厚。C:肺底部、1mmスライス厚)図3B~Dと同一画像です。慢性期のIPFでは、通常、線状影や蜂巣肺などの慢性の線維化を示す所見よりも、すりガラス影が優位に目立つことはありません。IPFに新たに認められるすりガラス影はIPF急性増悪のほか、心不全によるうっ血など、急性変化を反映していることが多く、臨床的に緊急性が高い場合が多いです。「至急連絡」の対象となるので、臨床医と積極的に連絡をとることが重要です。また、HRCTは病理学的UIPパターンの存在を認識できますが、UIPパターンを呈する疾患は、関節リウマチに伴う間質性肺炎や慢性過敏性肺炎など多種あり、画像で厳密な区別は困難で臨床診断の確定に至りません4)。●本症例の診断ポイント
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