心不全患者に対する腎機能の影響とSGLT2阻害薬ジャディアンスの有効性

サイトへ公開:2023年11月29日 (水)

腎機能の変動が心不全の予後に与える影響等、心不全患者を対象とした国内外の疫学研究を中心に、腎機能に関するデータをジャディアンスの臨床成績とともに紹介します。

心不全患者の腎機能の実際と予後への影響

心不全患者では腎機能が低下していることが多く、腎機能低下は慢性心不全の重要な予後規定因子であるといわれています1,2)。 
実際に、心不全による入院をした患者を対象とした国内の前向き観察研究では、心不全患者の71.2%がeGFR<60mL/min/1.73m2であると報告されました。
同研究では、eGFRが低いほど心不全による再入院が増えたことが示されており(p<0.001、Cox 回帰モデル)、心不全患者の予後改善のためには、腎機能の影響を考慮する必要があることが示唆されました。

  1. 日本循環器学会/日本心不全学会. 2025年改訂版心不全診療ガイドライン.
    https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Kato.pdf(2026年2月25日閲覧)
  2. Damman K, et al.: Eur Heart J. 2014; 35(7): 455-69.

日本人データを含む国際共同研究でも、CKDを合併する患者群の1年時の全死亡または心不全による入院のリスクはHFrEF、HFpEFともCKDを合併しない患者群と比較して高かったことが報告されました(HFrEFのハザード比:1.43、HFpEFのハザード比:2.54)。

また、心不全と腎機能の相関について、心不全による入院をした患者を対象とした国内の前向き観察研究で、心不全治療期間中の腎機能低下の程度が小さいほうが、心不全の予後悪化のリスクが低いことが報告されており(p<0.001、Log-rank test)、心不全治療においても腎機能への影響を考慮した治療選択が望ましいことが示唆されました。

ジャティアンスのエビデンス

左室駆出率が保たれた(LVEF>40%)慢性心不全患者を対象とした国際共同第Ⅲ相・検証試験(EMPEROR-Preserved試験 CKDの有無別解析)

SGLT2阻害薬であるジャディアンスでは、LVEF>40%の心不全患者(HFpEF)を対象としたEMPEROR-Preserved試験にて、全体集団解析とともに、事前規定されたCKD合併の有無別のサブグループ解析を行い、主要評価項目である心血管死または心不全による入院の初回発現までの期間、重要な副次評価項目としてeGFRスロープ等を検討しました。
なお、CKD合併の定義は、eGFR<60mL/min/1.73m2または尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)>300mg/gとしました。

患者背景におけるCKD合併のジャディアンス10mg群、プラセボ群、CKD非合併のジャディアンス10mg群、プラセボ群の年齢は74.2±8.5歳、74.2±8.8歳、69.1±9.4歳、69.3±9.7歳、LVEFは55.0±8.9%、54.7±8.8%、53.5±8.5%、53.9±8.8%、NT-pro BNPは1,730±2,029pg/mL、1,849±2,689pg/mL、1,106±1,378pg/mL、1,064±1,025pg/mL、eGFRは46.5±12.9mL/min/1.73m2、46.1±12.9mL/min/1.73m2、77.2±12.0mL/min/1.73m2、77.1±12.1mL/min/1.73m2でした。

心不全に対するジャディアンスの有効性について、全体集団における、心血管死または心不全による入院のプラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.79(95.03%CI:0.69~0.90)、p<0.001(Cox比例ハザード回帰モデル)であり、ジャディアンス10mg群の優越性が検証されました。
また、CKD合併例でのプラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.80(95%CI:0.69~0.94)、CKD非合併例でのプラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.75(95%CI:0.60~0.95)(交互作用のp値:0.6682、名目上のp値)でした。

【参考情報】
腎機能への影響を示すeGFRスロープは、CKD合併のジャディアンス10mg群で-0.70±0.15mL/min/1.73m2/年、プラセボ群で-2.13±0.15mL/min/1.73m2、CKD非合併のジャディアンス10mg群で-1.87±0.16mL/min/1.73m2/年、プラセボ群で-3.19±0.15mL/min/1.73m2/年でした。
ジャディアンス10mg群とプラセボ群の差はCKD合併例で1.43mL/min/1.73m2/年、CKD非合併例で1.31mL/min/1.73m2/年でした。

全体集団での有害事象の発現割合は、ジャディアンス10mg群で85.9%(2,574/2,996例)、プラセボ群で86.5%(2,585/2,989例)であり、ジャディアンス10mg群における主な有害事象は、心不全、尿路感染、低血圧、高血圧、転倒等でした。
全体集団の重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。
また、CKDの有無別の有害事象の発現割合は、CKD合併のジャディアンス10mg群で89.0%(1,436/1,614例)、プラセボ群で89.2%(1,411/1,581例)、CKD非合併のジャディアンス10mg群で82.4%(1,135/1,378例)、プラセボ群で83.4%(1,167/1,400例)でした。CKDの有無別の事前規定された特に注目すべき有害事象および特定の有害事象の発現割合は表のとおりでした。

ジャティアンスのエビデンス

左室駆出率が低下した(LVEF≦40%)慢性心不全患者を対象とした国際共同第Ⅲ相・検証試験(EMPEROR-Reduced試験 CKDの有無別解析)

LVEF≦40%の心不全患者(HFrEF)を対象としたEMPEROR-Reduced試験にて、全体集団解析とともに、事前規定されたCKD合併の有無別のサブグループ解析を行い、主要評価項目である心血管死または心不全による入院の初回発現までの期間、重要な副次評価項目としてeGFRスロープ等を検討しました。なお、CKD合併の定義は、eGFR<60mL/min/1.73m2またはUACR>300mg/gとしました。

患者背景におけるCKD合併のジャディアンス10mg群、プラセボ群、CKD非合併のジャディアンス10mg群、プラセボ群の年齢は70.4±9.5歳、70.1±9.8歳、63.7±11.2歳、62.3±11.3歳、LVEFは28.0±5.9%、27.5±6.2%、27.4±6.0%、26.8±6.0%、NT-pro BNP(中央値)は2,339pg/mL、2,329pg/mL、1,505pg/mL、1,548pg/mL、eGFRは46.5±15.0mL/min/1.73m2、47.4±15.1mL/min/1.73m2、79.0±13.8mL/min/1.73m2、79.1±14.0mL/min/1.73m2でした。

心不全に対するジャディアンスの有効性について、全体集団における、心血管死または心不全による入院のプラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.75(95.04%CI:0.65~0.86)、p<0.001(Cox比例ハザード回帰モデル)であり、ジャディアンス10mg群の優越性が検証されました。
また、CKD合併例でのプラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.78(95%CI:0.65~0.93)、CKD非合併例でのプラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.72(95%CI:0.58~0.90)(交互作用のp値:0.63、名目上のp値)でした。

【参考情報】
腎機能への影響を示すeGFRスロープは、CKD合併のジャディアンス10mg群で-0.22mL/min/1.73m2/年、プラセボ群で-1.33mL/min/1.73m2/年、CKD非合併のジャディアンス10mg群で-0.93mL/min/1.73m2/年、プラセボ群で-3.33mL/min/1.73m2/年でした。

全体集団での有害事象の発現割合は、ジャディアンス10mg群で76.2%(1,420/1,863例)、プラセボ群で78.5%(1,463/1,863例)であり、ジャディアンス10mg群における主な有害事象は、心不全、低血圧、腎機能障害、高カリウム血症、肺炎等でした。全体集団の重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。
また、CKDの有無別の有害事象の発現割合は、CKD合併のジャディアンス10mg群で80.2%(787/981例)、プラセボ群で82.9%(825/995例)、CKD非合併のジャディアンス10mg群で71.9%(632/879例)、プラセボ群で73.5%(636/865例)でした。CKDの有無別の事前規定された特に注目すべき有害事象および特定の有害事象は表のとおりでした。

ジャディアンスは、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者さんにご処方いただいています。
なお、慢性心不全に対するジャディアンスの用法及び用量は1日1回10mgの経口投与であり、eGFR≧20mL/min/1.73m2の患者さんに投与可能です。
※ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

先生が診療されている患者さんの中で、このような方はいらっしゃいますか。
LVEFを問わず、リスク低減を考慮した治療選択肢としてジャディアンスの追加投与をご検討ください。

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