Beamion LUNG-1試験を読み解く

サイトへ公開:2025年09月19日 (金)

進⾏/転移性のHER2ERBB2)遺伝⼦変異陽性の⾮⼩細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に、新規のHER2チロシンキナーゼ阻害剤であるヘルネクシオス®の有効性と安全性を評価した第Ib相⾮盲検国際多施設共同試験、Beamion LUNG-1試験1,2)が報告されました。
その成果を受け、ヘルネクシオス®は⽇本で2025年9⽉に「がん化学療法後に増悪したHER2ERBB2)遺伝⼦変異陽性の切除不能な進⾏・再発の⾮⼩細胞肺癌」を効能⼜は効果として、承認を取得しました。

試験概要

第Ib相 Beamion LUNG-1試験では、進⾏/転移性のHER2変異陽性NSCLC患者を対象に、ヘルネクシオス®の有効性と安全性を評価しました。
同試験では、⽇本を含む18ヵ国で241例が登録され、そのうち⽇本⼈患者は26例でした。
同試験の⽤量拡⼤パートにおけるコホート1では、まず初めに⽤量最適化相として、治療歴のあるHER2変異陽性NSCLC患者を、ヘルネクシオス®120mg群または240mg群にランダムに割り付け、治療を実施しました。

その後、⽤量最適化相のデータを踏まえて、120mgを推奨⽤量とし、コホート1を含むすべてのコホートで240mg群への組⼊れは中⽌となりました。

 

試験結果

主要評価項⽬である客観的奏効率(ORR※1)は66.7%(50/75例、97.5%CI:53.8-77.5)と、事前に規定された基準(ORR 30%)を上回りました(⽚側p<0.0001、検証的な解析結果、1標本z検定)。
また、副次評価項⽬である病勢コントロール率(DCR※2)は92.0%でした。

※1:ORR=CR+PR、※2:DCR=CR+PR+SD 

FDAの指示に基づき、コホート1 の全患者の6ヵ月以上の奏効期間フォローアップデータ及び3ヵ月安全性データを更新するため、追加解析が実施されました。追加解析の結果、主要評価項⽬である客観的奏効率(ORR)は70.7%(53/75例、95%CI:59.6-79.8)でした。
また、ベースラインからの腫瘍縮⼩率の中央値は-43%(範囲:-100-22)でした。

副次評価項⽬である無増悪⽣存期間(PFS)中央値は12.4ヵ⽉でした。

客観的奏効が認められた53例における奏効期間(DOR)中央値は14.1ヵ⽉でした。

ヘルネクシオス®との因果関係ありと判断された有害事象は75例中73例、97.3%に認められました。
主な有害事象は下痢(54.7%)、AST増加(24.0%)、発疹(22.7%)、ALT増加(21.3%)などでした。

ヘルネクシオス®との因果関係ありと判断された重篤な有害事象は、3例(4.0%)に認められ、ALT増加、AST増加が報告されました。
ヘルネクシオス®との因果関係ありと判断された死亡に⾄った有害事象は報告がありませんでした。

中⽌に⾄った有害事象は2例(2.7%)に認められ、ALT増加、AST増加、⾎中ALP増加、GGT増加及び発熱が報告されました。
休薬に⾄った有害事象は25例(33.3%)に認められ、2例以上にみられた有害事象はAST増加、駆出率減少、発疹、ALT増加及び嘔吐が報告されました。 
減量に⾄った有害事象は5例(6.7%)に認められ、AST増加、ALT増加、好中球数減少、⾎中クレアチンホスホキナーゼ増加、GGT増加、⾼トランスアミナーゼ⾎症及び薬物性肝障害の疑いが報告されました。

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P-Mark 作成年月:2025年9月